
TRANSIT50号 美しき日本の青をめぐる旅
発売日:2020年12月17日
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旅は沖縄・慶良間諸島から始まります。沖縄本島から船で1時間の距離にある、島民が100人に満たない慶留間島では、18人の児童・生徒が通う小中学校を卒業すると、島外へ進学しなければいけません。現在はサーファーや観光客を惹きつける、ケラマブルーとも呼ばれる美しい青い海に囲まれたこの島で、瑞々しい若い時代を謳歌する子どもたちと、戦争の苦い記憶を背負った長老たちの若き日のことに触れる旅です。
鬱蒼とした森に覆われた、和歌山の熊野古道を歩く旅にも出ました。長い時間かけて育まれた自然の豊かさ故に、貴賎のかかわりなく万人を受け入れる神聖な場所として存在するこの古道。はるか昔に同じ巡礼の道を歩いた古の人びとと心の交流を図りながら、日常を忘れて熊野古道の中辺路を歩きました。
ほかにも、活火山である阿蘇山のふもとで、豊かな湧き水や清らかな清流とともに生きる人びとの暮らしをのぞいた熊本縦断の旅、藍の産地で藍染産業を担う人びとや藍染の文化を継承してきたその土地のカルチャーに触れた徳島の旅、気仙沼の漁師や遠野の林業従事者、農家、猟師など一次産業を担う人びとの働く姿を見に行った東北旅、白金青い池や日本最北端の宗谷岬をはじめ、美しい青の大地をひたすら車で駆けた北海道のロードトリップなど、「アオ」をキーワードに日本全国を旅しています。
改めて「青色」と向き合った企画も盛りだくさん。脳が青と認識するまでどうなっているのか、空や海が青い理由は何かといったメカニズムを紹介する企画、細分化した名前がついている日本古来の青系の色の紹介、浮世絵や東山魁夷など、芸術のなかに生かされた青色についてなど、多方面から青色を掘り下げています。
また、「NIPPON青考」と題し、文化の中に浸透した青のイメージを紐解きました。映画や歌にみる青や、戦隊モノなどキャラクターの色分けについて、また青色の心理的効果やジェンダーの観点で見た青などについて掘り下げています。
青色が見られる・楽しめるスポットを「青色百景」としてまとめました。海や川などの水辺はもちろん、建築や生き物、青物野菜や青魚、そして器や藍染などなど、日本全国には青色ロケーションがたくさんあります!
世界に眼差しを向けてきたTRANSITが、日本に立ち返って編んだ50号。身近なところにある美しい色彩を感じてみてください。
特集記事
- 東京空色採集
【小野田陽一=写真 最果タヒ=詩】 - ケラマンチュの青い春/沖縄・慶良間諸島
【小島 脩=写真 山若マサヤ=文】 - 水色の国に暮らせば/熊本・熊本市、南阿蘇村、南小国町、三角町、人吉市 他
【竹之内祐幸=写真 津賀真希(TRANSIT)=文】 - 働くものが見つめる紺碧/宮城・気仙沼市、岩手・遠野市
【福岡秀敏=写真 福田香波(TRANSIT)=文】 - 蒼に宿る神/和歌山・熊野古道
【ニコ・ベレズ=写真 菅原信子(TRANSIT)=文】 - 明日に藍の種をまく/徳島・徳島市、上板町、美馬市
【佐々木知子=写真 池尾 優=文】 - 前略、青の大地から/北海道・美瑛町、東川町、士別市、稚内市、利尻島 他
【濱田英明=写真 山口優希(TRANSIT)=文】 - NIPPONの国立公園
自然と人の永久を想う/三重・伊勢志摩国立公園
【阿部裕介=写真 林紗代香(TRANSIT)=文】
特集企画
- NIPPON青考
- あおのなりたち/イメージの青/青キャラクター分析!/ブルーとジェンダーの不思議な関係/日本映画を覆う青/青い歌「ブルース」の系譜/世界の青図鑑/信仰世界の青
- 青色百景
川・湖/海・洞窟/建築/温泉/生き物/水族館 器/藍染/ジーンズ/青物野菜・青魚
そのほかの記事
- 青のメカニズム
- 日本の「青」ができるまで
- 浮世絵とジャパン・ブルー
- 東山魁夷と青の世界
人物
- ブレケル・オスカル
- 足立和也
- 小林モー子