<Spotify>オリジナル・ポッドキャストシリーズ「#聴くマガジン」の『TRANSIT VOICE 〜旅するポッドキャスト〜』。4月22日配信回のゲストは、【kami/ (かみひとえ)】の浪江由唯さんです。
新聞、雑誌、本、ティッシュペーパーやトイレットペーパー。あまりにも身近で、当たり前の存在である「紙」は、紀元前150年あたりに中国で発明されたといわれています。
その後、中国の蔡倫が考え出した「木の皮を刈り取って繊維にし、水で漉き、乾燥させて作る」製紙方法は世界へと伝わり(日本に渡ったのは610年)、各地で紙が作られてきました。
産業革命以降の工業化、印刷技術の発達によって紙は大量生産・大量消費の道へ。同時に手間のかかる「手仕事」の紙は減少。昨今はペーパーレス化も叫ばれて久しいです。
そんななか、手仕事の紙に魅せられ、世界にどんな紙があるのかを知りたいと旅に出たのが【kami/】の浪江由唯さんです。
2019年から2020年にかけて303日間、「紙」をテーマに15カ国の紙の工房と印刷所をめぐった行程をまとめた『世界の紙を巡る旅』(烽火書房)は、クラウドファンディングで2021年1月末に出版され話題を呼びました。
表紙はネパールの手漉き紙「ロクタペーパー」(9色)で、浪江さんみずから印刷したシルクスクリーンは4柄、そのインクも5色、つまり全部で100種類の装丁。表紙だけでなく、本文用紙も、11ヶ月の11種類というこだわりです。
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©YUI NAMIE『世界の紙を巡る旅』より
こちらが光輝くネパールの「ロクタペーパー」。
ヒマラヤの標高2500メートル以上の高さに自生する植物「ロクタ」から作られていて、お土産物や輸出品として国の大きな産業となっています。浪江さんの大学の卒業論文のテーマは「ロクタペーパー」でした。
©YUI NAMIE『世界の紙を巡る旅』より
メキシコのオトミ人が伝統的に作っているという「アマテ」。メキシコシティからバスで8時間揺られ、彼らが暮らす山奥へ旅しました。繊維を漉かずに編みこんだり叩き潰したりして作るアマテは、厳密には紙の定義からは外れますが、壁に飾ったり、ランプシェードにしたり、装飾的な紙として作られています。
浪江さんは、5月末から愛媛県の内子町に拠点をうつして「紙」から「本」までを作れるような場所をスタートさせます。内子町は大洲和紙の産地。紙の原料である楮(コウゾ)の栽培から手がけ、紙がどんな風に作られて、本はどうできるのか、手作りの紙に触れる仲間を増やしていきたいという浪江さん。世界各地で出会った人たちから得たものを、未来へ活かすために行動する姿は、新しい手漉き紙の広がりを予感させてくれました。
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