悩める大人たちに送りたい
映画『47歳 人生のステータス』

News - 2021.07.07

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SNS経由で成功者のキラキラした生活に憧れたり、嫉妬したり。自分と友人のキャリアを比べて、必要以上に卑屈になってしまったり。だれしもが心のなかで芽生えた不安と葛藤しながら生きているのかもしれない。そんなモヤモヤを抱えた経験がある人に向けて紹介したいのが本作『47歳 人生のステータス』だ。20210707_02.jpg
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ベン・スティラー演じる主人公は、平凡な47歳の中年男性ブラッド。優しい妻、賢く才能に溢れる息子の幸せな3人家族。さらに信念を貫いた仕事と家もある。富豪というわけではないけれど、なに不自由なく生活している。そんな彼は、大学進学を目指す息子トロイと2人でボストンへ向かう。その旅で経済的にも社会的にも成功した旧友たちと再会したブラッドは、次第に自分が築いた家族や仕事が果たして最高のものなのかと疑問を抱き始め、自分の人生を見つめ直していく。

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アメリカダートマス大学の研究によると、人生で最も不幸だと感じる年齢は47.2歳とのこと。ミッドライフ・クライシス(中年の危機)テーマに扱った本作品は、複雑な心理を抱える世代たちに共感を呼んでいる。

マイク・ホワイト監督
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作品を通して、旅中の父と息子との間で交わされる会話や空気感は、絶妙にリアル。とくに印象的なのは映画のラストシーン、ホテルの部屋で息子のトロイがブラッドに投げかけるセリフだ。本作の監督・脚本を手掛けたマイク・ホワイト氏は、このシーンについて次のように話してくれた。

「僕の父親は、立派な人です。だけど『自分が望んでいた成功に手が届いていたのか、成し遂げたかったことを叶えられたのか』について、はっきりと口に出してはいませんでしたが彼が不安に思っているように僕は感じていたんです。僕自身は父の履歴書よりも、一人の人間として素晴らしいと思っていたのに。だから最後のセリフは、僕がずっと父に言いたいと思っていたことです」

この映画はホワイト監督から父親へのメッセージなのだ。息子トロイが父親に向ける視点から観ると、また違った景色が見えてきそう。

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まさに「隣の芝が青い」という言葉がぴったりの感情や、人から羨ましがられる生活を送りたいという願望。心の底の自分の直視したくない部分がリアルに表現されていて、途中から少し恥ずかしくなってくる。誰しもがもちうる感情に、主人公がどうやって整理をつけていくのか? 最後まで目が離せない。家に籠る時間が多いこの梅雨期に、視聴してみてはいかがだろうか。社会的ステータスではなく、本当の幸せに目を向けるきっかけを与えてくれるかもしれない。


<info>
『47歳 人生のステータス』
MIRAIL ミレール 、Amazon Prime VideoU-NEXTの各動画配信サービスにてオンライン上映中
監督・脚本:マイク・ホワイト
出演:ベン・スティラー、オースティン・エイブラムス、ジェナ・フィッシャー、マイケル・シーン、ジェマイン・クレメント、ルーク・ウィルソンほか 
原題:『BRAD'S STATUS』
製作国:アメリカ  
製作年:2017年 
本編尺:102分  
レイティング:G 
配給:STAR CHANNEL MOVIES

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