©Emilio Garcia
TRANSIT54号『不思議で尊い世界の聖地へ』の「世界五大宗教と聖地」と題した企画では、ユダヤ教、キリスト教、イスラーム、ヒンドゥー教、仏教の5つの宗教を、それぞれ比較してまとめました。
ここでは、世界最大の信者数を誇る、キリスト教の基本情報を駆け足で紹介していきましょう。
supervision=TESSYU SYAKU
text=TRANSIT
Q.発祥はいつ?
A.紀元30年頃
ユダヤ教から派生した宗教。窮地に陥った際救世主が現れるというユダヤ教のメシア信仰のもと、紀元30年頃にエルサレムで処刑されたユダヤ人宗教家・イエスこそがその救世主ではないかとされた。のちに、イエスの復活を信じる者たちが教会をつくったことがキリスト教の起源である。キリスト教ではユダヤ教に基づく厳格な戒律を一部廃止し、民族的な宗教から普遍的な宗教へと大転換を遂げた。そのため、欧州で広く受け入れられるようになり、392年にはローマ帝国の国教として公認される。
Q.信仰対象は?
A.父なる神、子なる神、聖霊
父なる神とはユダヤ教伝来の天地創造の神、子なる神とは罪深き人間を救済するため地上に遣わされたイエス・キリスト、聖霊とは信者に働きかける神秘的な力のこと。一神教のキリスト教ではこれら三柱を三位一体として信仰する。
Q.信者数は?
A.約23億人
地中海世界を掌握したローマ帝国の国教とされて以降、主に北方に勢力を伸ばし、ヨーロッパからロシアまで広がる巨大なキリスト教圏を形成した。さらに大航海時代をへて、アメリカ、アフリカ、オセアニア大陸へと広がり、世界最大の宗教となる。
Q.教典・聖典は?
A.旧約聖書、新約聖書
旧約聖書とはユダヤ教の教典をさす。およそ1000年にわたる神と古代イスラエル民族の歴史がヘブライ語で記されている。新約聖書はイエスの弟子たちがギリシア語で記したキリスト教固有の教典で、イエスの生涯と言葉、神との関係などが記される。
Q.教義は?
A.神の愛、隣人愛
「あなた自身を愛するようにあなたの隣人を愛しなさい」と、旧約聖書の『レビ記』にあり、神が私を愛するように隣人を愛しなさいと説く。病人など弱者に対する施しが励行され、他者への愛を示すことで人間としてあるべき姿を体現しなければならない。
Q.代表的な聖地は?
エルサレム、ヴァチカン、アトス山など
イエスが地上で最後の1週間を過ごしたエルサレムのなかでも、磔刑に処せられたゴルゴタの丘の聖墳墓教会は重要。宗派によって聖地が異なり、カトリックはローマ教皇庁が統治するヴァチカン、東方正教会はギリシア北東部のアトス山を聖地とする。
釈徹宗(しゃく・てっしゅう)●宗教学者、僧侶。浄土真宗本願寺派如来寺住職、相愛大学人文学部教授。著書に『ゼロからの宗教の授業』(東京書籍)、『宗教聖典を乱読する』(朝日新聞出版)など。共著に内田樹との『聖地巡礼』(東京書籍)シリーズがある。
※この記事はTRANSIT54号の一部を抜粋したものです。本誌の詳細は
こちらから。
TRANSIT54号「不思議で尊い世界の聖地へ」
聖地はどのような背景で生まれ、何を求めて人びとが集うようになったのか。信仰や宗教がもつ力やその意味に触れながら、これからの多様な生き方・価値観を考え抜いた一冊。
特集内容:イスラエル、スペイン、アイルランド、サウジアラビア、インド、アメリカ、日本の聖地、五大宗教、巡礼図解、世界聖地マップ、アニメ聖地......etc.
定価:1,800円 + tax
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