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TRANSIT54号『不思議で尊い世界の聖地へ』の「世界五大宗教と聖地」と題した企画では、ユダヤ教、キリスト教、イスラーム、ヒンドゥー教、仏教の5つの宗教を、それぞれ比較してまとめました。
ここでは、すべてのことが神に帰属するイスラーム教、その基本情報を駆け足で紹介していきましょう。
supervision=TESSYU SYAKU
text=TRANSIT
Q.発祥はいつ?
A.7世紀
アラビア半島メッカの交易商人であったムハンマドは、40歳のとき山の洞窟で瞑想中に神の啓示を受け、神の使いであることを自覚し預言者となった。その後、神アッラーへの服従を誓い、民衆にアッラーこそが唯一の神であると布教を始めたのが起源。しかしメッカの支配層からは秩序を乱す者として迫害を受けメディナに移住したムハンマドは、メッカで信仰されてきた多神教の偶像をすべて破壊し、唯一神アッラーの言葉のみに従って生きるように諭しアラビア半島を統一。指導者の地位を確立した。
Q.信仰対象は?
A.唯一神アッラー
「アッラーのほかに神はなし」というフレーズ通り、アッラーとはほかに並び立つ者がない全知全能の絶対者。時間的な始まりも終わりもなく、天地創造以前から未来永劫に存在し、森羅万象の一切を司る神であり、ほかの神の存在を想起させる表現は不適切とされる。
Q.信者数は?
A.約18億人
世界第2位の信者数を誇り、現在も増加の一途を辿る。近代以前のイスラーム商人たちの活躍により、モロッコからインドネシアまでが一つのイスラーム世界となった。イスラーム教徒はアラビア語で「神への帰依者」を意味するムスリムと呼ばれる。
Q.教典・聖典は?
A.クルアーン
根本聖典はアラビア語で記されたクルアーン(コーラン)。唯一神から最後の預言者に選ばれたムハンマドが、20余年にわたって神から与えられた啓示を集成したもの。主にイスラーム共同体に対する信仰と生活全般にまつわる教えが実務的に書かれている。
Q.教義は?
A.タウヒード(神の唯一性)、六信五行
クルアーンで強調されるのが、神の唯一性(タウヒード)。タウヒードを根本として、ムスリムが信じるべき6つの柱(神・天使・預言者・啓典・来世・天命)、実行すべき5つの義務(信仰告白・礼拝・喜捨・断食・巡礼)を定義し、日常生活の基盤としている。
Q.代表的な聖地は?
A.メッカ、メディナ、エルサレムなど
預言者ムハンマドが誕生したメッカが最大の聖地。ムスリムは毎日5回決まった時刻にメッカの方角に向かって礼拝を行う。信者を率いて移住したメディナを第2の聖地、ムハンマドが一夜のうちに昇天する旅をしたエルサレムを第3の聖地としている。
釈徹宗(しゃく・てっしゅう)●宗教学者、僧侶。浄土真宗本願寺派如来寺住職、相愛大学人文学部教授。著書に『ゼロからの宗教の授業』(東京書籍)、『宗教聖典を乱読する』(朝日新聞出版)など。共著に内田樹との『聖地巡礼』(東京書籍)シリーズがある。
※この記事はTRANSIT54号の一部を抜粋したものです。本誌の詳細は
こちらから。
TRANSIT54号「不思議で尊い世界の聖地へ」
聖地はどのような背景で生まれ、何を求めて人びとが集うようになったのか。信仰や宗教がもつ力やその意味に触れながら、これからの多様な生き方・価値観を考え抜いた一冊。
特集内容:イスラエル、スペイン、アイルランド、サウジアラビア、インド、アメリカ、日本の聖地、五大宗教、巡礼図解、世界聖地マップ、アニメ聖地......etc.
定価:1,800円 + tax
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