ロシア、カナダ、アメリカ、中国、ブラジルに次いで、世界第6位の面積を誇るオーストラリア。そんな広大なオーストラリアを構成するのが、独立心旺盛な6つの州、1つの準州、1つの特別区。8つのエリアの個性をイラストにトレースしてみれば、陽気なオージーの本質が見えてくる！? オーストラリアの基本情報を駆け足でみていこう。

illustration=ASAKO SUZUKI
map design=TAKAHIRO AMITANI (atelier PLAN)
text=TRANSIT

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【基本情報】

● 国名＝オーストラリア連邦
● 面積＝約769万2024㎢（日本の約20倍）
● 人口＝約2550万人（2021年、オーストラリア国勢調査）
● 首都＝キャンベラ
● 公用語＝英語
● 通貨＝オーストラリアドル(AUD)　、1AUD=約92円(2023年5月現在)
● 政体＝立憲君主制
● 元首＝チャールズ3世(2023年)

オーストラリアという名前は、「未知の南方の土地」を意味するラテン語からつけられた。18世紀にイギリス人が入植。各地域は徐々に植民地の体をなし、イギリスから自治権を認められていった。
彼らは宗主国であるイギリスとの関係を重視し、ほかの植民地と深い関係を築かず、多彩な風土とバラエティ豊かな住人とともに、独自に発展していった。

【オーストラリアの8つのエリア】

▶︎クイーンズランド州

海と太陽の恵みを受けた楽園
グレートバリアリーフやゴールドコーストなど世界的な観光スポットを抱え、産業のなかではツーリズム業が稼ぎ頭。「サンシャインステイト」という別称のとおり、晴天率が高く、人びとは開放的。ケアンズやゴールドコーストへ直行便が飛び、日本にとっては玄関口でもある。

● 面積＝約173万km²
● 州都＝ブリズベン
● 州の動物＝コアラ
● 主な産業＝観光、農牧業、鉱業

グレートバリアリーフ　©︎Ank Kumar

ゴールドコースト　©︎Warren Major

▶︎ニューサウスウェールズ州

自由な気質に溢れた約束の地
人口がもっとも多いニューサウスウェールズ州。入植の歴史も古く、1770年にイギリスの海洋探検家ジェームズ・クックがオーストラリアに初上陸したのが、このエリア。州都シドニーは最初の入植地として、オーストラリアの文化と歴史を牽引してきた。多文化主義を標榜するオーストラリアらしく、シドニーには欧州やアジアからの移民が多く暮らし、多様な文化が花開く。シドニーのゲイカルチャーはリベラルな雰囲気が育んだシンボル的存在。

● 面積＝約80万㎢
● 州都＝シドニー
● 州の動物＝カモノハシ
● 主な産業＝サービス、鉱業、食品加工

オペラハウス　©︎Stephen Douglas

▶︎ビクトリア州

移民仕込みの文化発信地
もともとニューサウスウェールズ州の一部だったが、金鉱の発見により人口が増えてビクトリア州が誕生。州都メルボルンは英国風の建物が多く、格調高い雰囲気。移民も多く、カフェやクラブなどのカルチャーは彼らによりもたらされた。

● 面積＝約23万㎢
● 州都＝メルボルン
● 州の動物＝フクロモモンガダマシ
● 主な産業＝農業、工業、鉱業、サービス、観光

メルボルン　©︎Filipe Castilhos

▶︎南オーストラリア州

芸術とワインに彩られたバッカスの地
流刑地ではなく、イギリスの自由入植地として発展したエリア。そんな背景のせいか、上品な雰囲気が漂う。州都アデレードは芸術祭とワイン祭が隔年で開かれる文化都市。オーストラリアワイン生産の中心地でもあり、バロッサバレーは世界的に評価の高いグランジの産地として知られる。

● 面積＝約104万㎢
● 州都＝アデレード
● 州の動物＝ケバナウォンバット
● 主な産業＝サービス(健康・医療)、工業

バロッサバレー　©︎Kyle Taylor

▶︎西オーストラリア州

資源に恵まれたラストフロンティア
西の端で独自の発展を遂げた地で暮らす人びとは誇り高く、自州以外の者を「東部の連中」とひとまとめに呼ぶとか。金、鉄鉱石、天然ガスなど、国全体の鉱物資源の3分の1を産出し、国内経済を支えている。

● 面積＝約253万㎢
● 州都＝パース
● 州の動物＝フクロアリクイ
● 主な産業＝鉱業、農業、観光

パース　©︎Pedro Szekely

▶︎タスマニア州

オーストラリア最後の秘境
全島の4割近くが自然保護指定を受けていて、とくに世界遺産の原生林地域はタスマニアデビルなど野生動物の宝庫となっている。かつては、イギリスから来た囚人が、再度罪を犯すと送られる"流刑地中の流刑地"だったが、現在は冒険好きが訪れるアウトドアの聖地へ変貌した。

● 面積＝約10万㎢
● 州都＝ホバート
● 州の動物＝タスマニアデビル
● 主な産業＝鉱業、林業、農業、観光

©︎thomas

タスマニアデビル　©︎Steven Penton

▶︎ノーザンテリトリー北部準州

先住民の宇宙観を映す神々の世界
北部には豊穣な湿地帯が広がる動物の楽園があり、南へ下ればアウトバックと呼ばれる赤茶けた荒野が延々と続く。アボリジニの聖地ウルルを擁し、精神的にも地理的にもオーストラリアの中心をなす地域は、人間の侵入を拒むような荒々しさに満ちている。

● 面積＝約135万㎢
● 州都＝ダーウィン
● 州の動物＝アカカンガルー
● 主な産業＝鉱業、観光

ウルル　©︎Robyn Jay

©︎Geoff Whalan

▶︎オーストラリア首都特別区

近未来的なコスモポリス
オーストラリア各州を統括する特別行政区。首都機能をおきたいシドニーとメルボルンの駆け引きの末、中間地点に建設された人工都市キャンベラには、外交官や国際色豊かな学生が暮らし、無国籍な雰囲気が漂う。

● 面積＝約2358㎢
● 州都＝キャンベラ
● 主な産業＝サービス（公共政策）、軍事

キャンベラ　©︎Lauri Väin

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かつては、海の冒険者たちが知られざる世界を求めて集まった地、オーストラリア。今でも同じように広大で多様性に満ちた大陸を旅すれば、各地域をめぐるたびに新しい発見に出会えるはず！ オーストラリアのことをもっと知りたくなったら、『TRANSIT29号 美しきオセアニア』もぜひご覧ください！