ヴィム・ヴェンダース過去作も
『映画に愛される街、TOKYO!
アート・キッチュ・エキゾチズム』3/16〜@渋谷

News - 2024.02.29
渋谷の映画館・ユーロスペースにて、世界中の映画監督が"東京"を舞台に撮影した作品を集めた特集上映『映画に愛される街、TOKYO! ―アート・キッチュ・エキゾチズム―』が3月16日〜3月29日まで開催されます。

2023年カンヌ国際映画祭で役所広司さんが男優賞を受賞した『PERFECT DAYS』、そこで切り撮られている東京の風景が話題を集めていますが、そんなヴィム・ヴェンダース監督が東京を映した過去作『東京画』『都市とモードのビデオノート』も上映予定です。

あらゆるものを貪欲に取り込み、常に進化をつづけ、多様性を体現してきた街、東京ーーー。この街は、海外の映画監督たちの目にどう映るのでしょうか。

古今東西、ジャンルを問わず、バラエティーに富んだラインナップは必見。12作品に加えてホームムービーを特別上映します。上映期間中には監督や出演者を招いたトークセッションを開催し、【東京/TOKYO】の多様な魅力を紐解きながら観客や次代の作家たちの感受性への刺激を試みます。

本記事では上映作品の中から一部をご紹介します。
春のお出かけ日和に、映画館まで少し足を延ばしてみてはいかがでしょう。





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© COLOURED GIRAFFE/trixta/ASTEROS

『IGUANA TOKYO ―イグアナ トウキョウー』
監督:カアン・ミュジデジ
2022年/74分

長編デビュー作『シーヴァス 王子さまになりたかった少年と負け犬だった闘犬の物語』でヴェネツィア国際映画祭審査員特別賞を受賞したトルコの俊英カアン・ミュジデジが紡ぎ出すサスペンススリラー。東京で幸せに暮らしていたはずの一家が、ゲームを通じてメタヴァースの世界に足を踏み入れたことから奇妙な出来事に巻き込まれ始め、やがて崩壊へと向かうさまをペットのイグアナの視点から巧みに描き出す。本邦初公開。


240227_movies_TOKYO EYES.jpg 『TOKYO EYES』
監督:ジャン=ピエール・リモザン
1998 年/98 分

世紀末の東京を舞台に、謎めいた発砲事件を起こし続ける青年と彼に惹かれる少女の姿をスタイリッシュな映像と音で描く。フランス人のジャン=ピエール・リモザンが監督を務め、共同脚本に坂元裕二も名を連ねている。カルト的人気を博した「NIGHT HEAD」の武田真治とモデル・女優・歌手の吉川ひなのという、当時絶大な人気を誇っていた2人が主演を務め、事件の鍵を握るヤクザをビートたけしが演じ、渋谷や下北沢でロケが行われた。


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© mk2/Eurospace

『ライク・サムワン・イン・ラブ』
監督:アッバス・キアロスタミ
2012年/109分

『友だちのうちはどこ?』、『桜桃の味』のイランの巨匠で2016 年に76歳で逝去したアッバス・キアロスタミによる人間ドラマで2011年に日本で撮影が行われた。84歳の元大学教授の男性、彼の元に派遣されたデートクラブでアルバイトをする女子大生、彼女の恋人の3人の愛と欲望と嘘が絡み合い、繊細なドラマが綴られていく。映画タイトルと同じジャズ・スタンダード「Like Someone in Love」(エラ・フィッツジェラルド)が劇中でも使用されている。


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© 2003 LOST IN TRANSLATION INC. ©2003, Focus Features all rights reserved

『ロスト・イン・トランスレーション』
監督:ソフィア・コッポラ
2003年/102分

『ヴァージン・スーサイズ』に続くソフィア・コッポラの長編2 作目で、アカデミー賞脚本賞を受賞した。CM 撮影のために東京に滞在中の初老のハリウッド俳優と有名写真家の夫に同伴して東京に来たもののヒマを持て余している若い妻。異国で孤独と虚しさを抱えたアメリカ人男女の心の交流を描く。"異邦人"の視点で切り取られた東京の街並みが印象的。渋谷のスクランブル交差点を世界中に知らしめた作品とも言われる。


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© Le Sommet des Dieux - 2021/Julianne Films/Folivari/Mélusine Productions/France 3 Cinéma/Aura Ciném

『神々の山嶺』
監督:パトリック・インバート
2021年/94分

「孤独のグルメ」などの傑作漫画で知られ、2017年にこの世を去った漫画家・谷口ジローが夢枕獏のベストセラー山岳小説を漫画化した『神々の山嶺』をフランス映画界でアニメーション化した。「ジョージ・マロリーはエベレスト登頂に成功したのか?」という山岳界の謎に迫りつつ、2 人の日本人登山家が過酷なエベレストに挑むさまを描き出す。本国フランスで大ヒットを記録し、セザール賞の長編アニメーション映画賞を受賞した。


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© Wim Wenders Stiftung 2014

『都市とモードのビデオノート』4Kレストア版
監督:ヴィム・ヴェンダース
1989年/81分

ドイツの巨匠ヴィム・ヴェンダースが、ポンピドゥーセンター(国立芸術文化センター)の依頼を受けて、ファッションデザイナー・山本耀司の仕事を追いかけたドキュメンタリー。フィルムカメラと8ミリビデオカメラの映像を織り交ぜ、1989 年春夏のパリ・コレクションに向けた準備過程を克明に記録すると共にヴェンダースとの対話を通じて山本のファッションや仕事への哲学が語られる。


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© Wim Wenders Stiftung 2014

『東京画』 2Kレストア版
監督:ヴィム・ヴェンダース
1985年/92分

ヴィム・ヴェンダースが、敬愛する小津安二郎へのオマージュを込めて制作したドキュメンタリー。小津が描いた東京を求めヴェンダースはカメラを回し続ける。竹の子族やパチンコ、ビルの屋上のゴルフ練習場、食品サンプルをつくる工房、東京タワーの展望室、そして笠智衆、小津組の名カメラマン・厚田雄春へのインタビューなどを交えつつ、『東京物語』(1953 年)からちょうど30 年後の1983 年当時、いまから約40 年前の東京の風景が映し出される。

<上映作品一覧>
『IGUANA TOKYO ―イグアナ トウキョウー』 カアン・ミュジデジ監督
『TOKYO EYES』 ジャン=ピエール・リモザン監督
『TOKYO!』 ミシェル・ゴンドリー監督/レオス・カラックス監督/ポン・ジュノ監督
『ライク・サムワン・イン・ラブ』 アッバス・キアロスタミ監督
『ロスト・イン・トランスレーション』 ソフィア・コッポラ監督
『書かれた顔 4K レストア版』 ダニエル・シュミット監督
『神々の山嶺 』 パトリック・インバート監督
『都市とモードのビデオノート 4K レストア版』 ヴィム・ヴェンダース監督
『東京画 2K レストア版』 ヴィム・ヴェンダース監督
『二郎は鮨の夢を見る』デビッド・ゲルブ監督
『不思議なクミコ』 クリス・マルケル監督
『珈琲時光』 ホウ・シャオシェン監督
スペシャル・スクリーニング『あなたの東京、わたしの東京』(ホームムービー特別上映会)

INFORMATION

『映画に愛される街、TOKYO!―アート・キッチュ・エキゾチズム― 』

期間|3月16日(土)~3月29日(金)
会場|ユーロスペース (東京都渋谷区円山町1-5 3F)
HP|http://www.eurospace.co.jp
入場料金|一般1,600 円/大学・専門学校生1,300 円/会員・シニア1,300 円/高校生800 円/中学生以下500 円(オンラインは600円)、特別上映『あなたの東京、私の東京』は500円均一
主催|ユーロスペース  共催|トリクスタ、ライトフィルム
助成|公益財団法人東京都歴史文化財団/アーツカウンシル東京[芸術文化魅力創出助成]
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