#What's フランス海外県?
ロケット発射台、ラム酒製造......
歴史の鍵を握る5つの県

フランスはヨーロッパを越えて世界各地にいくつかの県を有しており、それらは海外県と呼ばれている。のどかな風景で現在はどこも観光地となったが、植民地時代の名残をとどめる、フランスの歴史を知るための重要な場所である。

text=TRANSIT
Illustration=AYUMI TAKAHASHI



What's other.jpg

1.マルティニーク/Martinique



人口:約36万人
面積:1,128km²
言語:フランス語、クレオール語
GDP:約204億ユーロ
行政所在地:フォール=ド=フランス

Martinique ©︎Michel Marie.jpg
©︎Michel Marie

黒い砂が広がるマルティニーク。

1635年にフランスによって植民地化されたカリブ海のマルティニーク島もまた、奴隷制度によって栄えた砂糖の生産地であった。1848年に奴隷制度は廃止されたが、その後、政情不安の時代がつづいた。高品質なラム酒で知られている。

特徴❶モン・ペレ
マルティニークを象徴する火山モン・ペレは、1902年の大噴火で有名。現在では、島の絶景を楽しめるトレイルでハイカーを魅了している。

特徴❷美しいビーチ
レ・サリーヌやアンス・デュフールのような白砂と黒砂のビーチでは、透き通った海と天国のような景色が楽しめる。ウォータースポーツに最適。



2.フランス領ギアナ/Guyane française



人口:約29万人
面積:83,856km²
言語:フランス語、クレオール語
GDP:約94億ユーロ
行政所在地:カイエンヌ

Guyane française ©︎NASA Johnson.jpg
©︎NASA Johnson

アマゾン熱帯雨林から宇宙まで。

南米に位置するフランス領ギアナは、17世紀に植民地化。激動の歴史をへて、19世紀半ばには囚人の強制送還地となり、1946年にフランス海外県として認証された。宇宙センターがありフランスの宇宙政策の拠点となっている。

特徴❶豊かな生物多様性
領土の大部分は、生物多様性に富んだアマゾンの熱帯雨林の一部である。この密林には何千もの種が生息しており、その多くが固有種である。

特徴❷ギアナ宇宙センター
赤道直下に位置するギアナ宇宙センターは、静止軌道への衛星打ち上げに有利。ロケットの打ち上げを眺めたり、センター内を見学することができる。



3.グアドループ/Guadeloupe



人口:約38万人
面積:1,628km²
言語:フランス語、クレオール語
GDP:約89億ユーロ
行政所在地:バステール

Guadeloupe ©︎Michel Marie.jpg
©︎Michel Marie

カリブ海に浮かぶ豊かな文化。

カリブ海に浮かぶグアドループは主に7つの島から成り、それぞれが独自の魅力をもつ。グランドテール島は白い砂浜やリゾートで知られ、バステール島には熱帯雨林や緑豊かな山の景色が広がっている。

特徴❶クレオール文化
グアドループのクレオール文化は、アフリカ、ヨーロッパ、カリブ海の伝統が融合したもので、音楽、ダンス、料理、祭事などにその片鱗を見ることができる。

特徴❷ダイビングスポット
グアドループの海は、サンゴ礁や沈没船、また海洋生物の豊かな生物多様性で有名で、ダイバーに忘れられない体験を提供している。



4.マヨット/Mayotte



人口:約31万人
面積:376km²
言語:フランス語、マオレ・コモロ語
GDP:約23億ユーロ
行政所在地:マムズ

Mayotte ©︎Julien Lalanne.jpg
©︎Julien Latanne

天国に見える問題の多い島。

19世紀にフランスによって植民地化されたコモロ諸島のマヨット島。地元民の抗議にもかかわらず、2011年に海外県となった。その地位は独特で、コモロ諸島が一部領有権を主張したままであり、政治的・領土的緊張がつづいている。

特徴❶ラグーンに囲まれた島
世界最大級のラグーンに囲まれたマヨット島では、穏やかで浅い海域に驚くほど多様な生物が生息しており、ダイビングに最適なスポット。

特徴❷大多数はムスリム
コモロとフランスそれぞれの伝統の影響が見られるが、島の人口の97%はムスリム。イスラームの音楽や踊りの伝統が色濃く残っている。



5.レユニオン/La Réunion



人口:約87万人
面積:2,572km²
言語:フランス語、クレオール語
GDP:約204億ユーロ
行政所在地:サン=ドニ

Reunion ©︎David Chao.jpg
©︎David Chao

インド洋に浮かぶ火山島。

インド洋に浮かぶこの島には、もともとマダガスカル人が住んでいた。17世紀にフランスによって植民地化され、砂糖の生産地に。現在では、活火山、文化の多様性、変化に富んだ景観で知られている。

特徴❶ピトン・ドゥ・ラ・フルネーズ
島の中心にあるピトン・ドゥ・ラ・フルネーズは、世界でもっとも活発な火山のひとつであり、島の主要な観光スポットのひとつ。

特徴❷ミックスカルチャー
レユニオン島は文化のるつぼであり、ヨーロッパ、アフリカ、アジア、インドの影響が混ざり合って独特の文化を生み出している。




TRANSIT最新号「新しい風吹くフランスへ」では、フランス海外県の基本情報のみならず、今も昔も愛されるフランスの魅力が詰まったコンテンツをたくさん掲載しています。完全版もぜひご覧ください!

Recommend

See Also

20240614_08_macron.jpg

ド・ゴール、シラク、マクロン......フランス大統領クロニクル!...

P028-029_Whats FRANCE_00.jpg

#What's フランス?多様なイメージを作り出すフランスの13の...

編集部のフランス土産がもらえる!?SNSキャンペーン6/13-6/...

AyakaWada2_20240607.jpg

▶︎Interview 和田彩花芸術の都で見つけた自由「渡仏のきっ...