世界中でブーム!
フランス地方の個性が映る
おすすめの自然派ワイン

今や世界中でブームとなっている自然派ワイン(ヴァン・ナチュール)。 その一角を担うワイン大国フランスで、ぜひとも訪ねてみたい産地と造り手をピックアップ。

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⚫︎LOIRE/ロワール


ブドウ栽培の北限に近く、比較的酸がしっかりと残るワインが特徴的。栽培地はペイ・ナンテ地区、アンジュ・ソーミュール地区、トゥーレーヌ地区、サントル・ニヴェルネ地区の4エリアに区分され、ソーヴィニョン・ブランに代表される白ワインの生産量は国内1位を誇る。ヴァン・ナチュールの一大産地でもあり、1980年代からビオディナミ(ルドルフ・シュタイナーが提唱した自然な農法)を採り入れたニコラ・ジョリーやマルク・アンジェリ、ドメーヌ・ユエ、世界から崇敬を集めるクロード・クルトワなど、フランスにおける初期の自然派ワインムーブメントを牽引した生産者が多く揃う。彼らのフィロソフィーに共感する若手の参入も多く、自然を尊重しながらブドウの個性を引き出すワイン造りは脈々と受け継がれている。


\ Pick-up Winemaker /

Claude Courtois(クロード・クルトワ)


ジュール・ショーヴェ、ピエール・オヴェルノワにつづく純正自然派ワインの始祖と呼ばれるクロード・クルトワ。代表作のラシーヌ・ルージュは、その口当たりの柔らかさと神妙なテクスチャーから魔性のワインと評される。

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Les Cailloux du Paradis(レ・カイユ・デュ・パラディ)


フランス国内外に熱狂的なファンをもつクロード・クルトワの代表作ラシーヌ・ルージュは、ロワールでは現在植えられることのなくなった品種を20種以上ブレンドしている。
|代表銘柄:ラシーヌ・ルージュ |品種:ガメ、カベルネ・フランコ、ピノ・ノワールほか

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⚫︎CHAMPAGNE/シャンパーニュ


近年のイギリスなどの例外的な地域を除くブドウ栽培の北限地域。中生代白亜紀後期の白亜質石灰やジュラ紀キメリジアン階の泥灰岩、石灰岩が中心の土壌は水はけがよく、多湿を嫌うブドウの成長と成熟に極めて有利な条件が揃う。1600年代末までは非発泡ワインの産地だったが、19世紀にヴーヴ・クリコが瓶内二次発酵などの通称「シャンパン方式」を確立してからスパークリングワインの代名詞となった。全生産量の約4分の3をモエ・エ・シャンドンなどの大手6社が占めるが、小規模の自然派ワイン生産者も健在。


\ Pick-up Winemaker /

Bertrand Gautherot(ベルトラン・ゴトロー)


1993年に若くして農家を継いだベルトラン・ゴトロー。化学合成農薬や除草剤不使用の道を模索し、土壌から残留化学肥料や農薬が抜け、畑から理想のブドウが得られるまでの9年間、自らの名でのシャンパーニュのリリースを見送りつづけた。

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\ Recommend Wine /

Vouette et Sorbée(ヴェット・エ・ソルベ)


栽培は畑の片隅で発酵させた堆肥を用い、収穫は手摘みで3週間ほどかけて行う。搾汁は伝統的なコカール式垂直プレスで、その後の発酵や熟成もできるだけ手を加えない自然任せ。
|代表銘柄:キュヴェ・フィデル ノン・ドゼ |品種:ピノ・ノワール

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⚫︎ALSACE/アルザス


ドイツの国境近く、ライン河に沿った丘陵地に南北約170㎞にわたって産地が広がるアルザス地方。西側に連なるボージュ山脈の裾野は日当たりもよく、山々が偏西風や雨雲を遮ぎることで降水量の少ない気候を生み出すなど、ブドウ栽培に適した環境が揃う。土壌も石灰岩、粘土、砂岩、火山岩と多様で、表現しがいのある個性豊かな土地は多くの自然派ワイン生産者を惹きつけている。造られるのは90%以上が白ワイン。リースリング、ゲヴュルツトラミネール・ノ・グリ、ミュスカなどの伝統的品種が栽培されている。


\ Pick-up Winemaker /

Jean Pierre Frick(ジャン・ピエール・フリック)


1981年にビオディナミを開始したアルザス有機農法の先駆者、ジャン・ピエール・フリック。ブドウ農家の12代目は、ワインを「自然への愛と畏怖の念が刻印されるべきもの」と捉え、真摯なビオディナミ栽培を今日までつづけている。

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Pierre Frick(ピエール・フリック)


手作業で収穫されたブドウを自然酵母で発酵させ、100年以上使いつづける大樽で熟成。定番の白ワインはアルザスらしい厚みのある果実味と、ピノ・ブランらしい酸を感じられる。
|代表銘柄:ピノ・ブラン |品種:ピノ・ブラン

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⚫︎BOURGOGNE/ブルゴーニュ


シャブリからコート・ドール、マコネ、ボジョレーまで南北約230㎞にわたってつづくフランス三大ワイン産地の一つ。さまざまな地層が重なり合い、丘陵を走る断層によってそれらが細かく分断されるため、畑ごとにまったく個性の異なるブドウが育つといわれている。ワインは基本的にブレンドをしない単一品種。最高級ワイン「ロマネ・コンティ」を生み出すグラン・クリュ(特級畑)を頂点に4つの格付けがある伝統的な地域だが、ビオディナミ栽培や亜硫酸の添加を極力控えたヴァン・ナチュールの生産者も増えている。


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Alice et Olivier(アリスとオリヴィエ)


ディジョン大学・醸造学部の同級生だったアリスとオリヴィエの2人が1994年、計4haの畑からスタートしたドメーヌ。創業以来クロード・クルトワなどの生産者たちと親交を重ね、除草剤の使用を減らし少しずつビオロジックに転換した。

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Alice et Olivier de Moor(アリス・エ・オリヴィエ・ド・ムール)


2008年にビオロジックの認証を受ける以前から、自然派から高い評価を得ていたアリスとオリヴィエ。2017年ヴィンテージからはシャブリ・プルミエ・クリュのリリースも開始。
|代表銘柄:シャブリ リュムール・デュ・タン |品種:シャルドネ

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⚫︎BEAUJOLAIS/ボジョレー


マコンの南からリヨンまでの約50㎞の細長い丘陵地帯に広がる産地。原産である黒ブドウの一種ガメイを使用した赤ワインが大半を占め、とくに北部では、「クリュ・デュ・ボジョレー」に認定された10村を筆頭に高品質のワインが生産されている。また、この地はフランスでもっとも早く亜硫酸無添加でのワイン造りを志したジュール・ショヴェと、その教え子として1980年代初頭からヴァン・ナチュールを手がけた偉大な先駆者、マルセル・ラピエールの本拠地でもあり、自然派ワインの聖地としても崇敬を集める。


\ Pick-up Winemaker /

Guy Breton(ギィ・ブルトン)


マルセル・ラピエールの醸造アシスタントを務め、ボジョレーでもっとも古くからヴァン・ナチュールを実践した先駆者の一人ギィ・ブルトン。1988年から計6.3haの畑でビオロジック栽培を行い、醸造時の亜硫酸使用も最低限に抑えている。

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Guy Breton(ギィ・ブルトン)


自身のニックネームを冠したモルゴン・プティ・マックスは、1893年から1957年に植樹された古木のガメのみを使用。熟成と抽出を長めに行い、深遠な味わいを実現している。
|代表銘柄:モルゴン プティ・マックス |品種:ガメイ

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