【55号 海の楽園】
サステナブルな海の宿10選
新しいリゾート案内
白い砂浜でのんびりしたり、海の生き物に出会ったり。そんな豊かな体験ができる環境を守り、積極的に向上させていこうとするリゾートが世界には増えている。世界に散らばるサステナブルなビーチホテル10選を、海別に見ていこう。
インド洋の北東部、マレー半島西海岸のアンダマン海に浮かぶ、99の島々からなるランカウイ。施設は熱帯雨林に囲まれていて、少し山を降りたところには、海外の雑誌でたびたび世界のトップビーチに選ばれているダタイ湾がある。自然豊かな島を守るため、廃棄物を建物に利用できる無害な灰に変える機械を導入したり、自社の飲料水ボトリング工場を設置するなど、継続的に取り組む。ホテル専任の動植物学者とのネイチャーウォークや海洋生物学者とのビーチウォークも開催している。
>>SDGs Point
・使い捨てプラスチック製品の廃止
・埋め立て廃棄物ゼロ
・サンゴ再生のための人工リーフ設置
・環境にやさしい建材を使用
●Jetwing Lagoon(Sri Lanka)
スリランカの首都コロンボから車で30分ほどにある、北西部ネゴンボのスパリゾート。ネゴンボは、主要な商業地であり西欧風の建物が多く残ることから「リトル・ローマ」と呼ばれている。施設のすぐ隣には190種類を超える野生の動植物が生息するマングローブ林を有するネゴンボ・ラグーンがあり、反対側には広大なインド洋を望む。生ゴミのコンポストや、ホテルの排水処理を徹底し、生態系を守っている。
>>SDGs Point
・バイオマス発電と太陽光発電を利用
・排水処理施設完備
・焼畑の自然再生事業
![dgA-1_Ana_Beach_House_pool_[6189-LARGE]-min.jpg](https://transit.ne.jp/images/dgA-1_Ana_Beach_House_pool_%5B6189-LARGE%5D-min.jpg)
ベトナム南部の海岸沿いのリゾート都市ニャチャンにある、クラシックなベトナム風ヴィレッジをコンセプトにした施設。透き通った海はもちろんのこと、山にもほど近く、さまざまなアクティビティを楽しめる。ペットボトル不使用を掲げ、換算すると毎年1万本近くに匹敵するごみの削減を実現している。また、チャリティにも積極的で、一部の児童養護施設で環境保護について教える活動も行っている。
>>SDGs Point
・公共エリアでのエアコン不使用
・給湯に太陽光発電を利用
・地域の学校などの浄水を支援
●Post Ranch Inn(America)
>>SDGs Point
・ 地元の生産者の食材を使用
・すべての水は敷地内の7つの滝から調達
・ペットボトル、発泡スチロールの廃止
●Within The Wild Tutka Bay Lodge(America)
アラスカ州中央南部、ケナイ半島の端という人里離れた場所にあるロッジ。このエリアには道路がなく、車がアクセスすることができないため、ゲストは近郊の町から氷上飛行機かボートで送迎される。5月から9月の夏季のみのオープンしており、周辺の湾やフィヨルド、原生林をフィールドにしたさまざまな体験が楽しめる。ホテルが購入した広大な原生林は、生態系を調査・研究する環境保護団体などへ無償で提供している。
>>SDGs Point
・環境保護団体にフィールドを提供
・宿泊1件につき100ドルをアラスカ州の保護団体へ還元
・野生の新鮮な食材や地元の生産者の食材を使用
>>SDGs Point
・100%再生エネルギーを使用
・廃水と雨水の有効利用
・食品廃棄物の堆肥化
・キャッチ&リリースベースのアクティビティの実施
・グリーンツアーの実施
●Black Bird(Australia)
バイロン・ベイの丘陵地に位置する3棟のみのブティック・ホテル。古いバナナ農園の跡地を利用し、客室は多くの再生素材でつくられている。太陽光発電により電力をまかなうほか、雨水の有効利用や廃棄物の堆肥化などリサイクルにも注力。食材は地元の生産者やファーマーズマーケットから調達し、自家農園で栽培する有機栽培野菜を用いるなど、肥沃な土壌を生かした持続的なサービスを提供する。
>>SDGs Point
・省エネソーラーシステムによる自家発電
・雨水の有効利用
・地元の食材を積極的に使用
30室すべてにプライベート感があり、部屋から一歩踏み出せば、生い茂るマングローブ林、透き通るカリブ海がすぐそばに。沖合には、グレートバリアリーフに次ぐ世界で2番目の広さを誇るサンゴ礁「ベリーズサンゴ礁保護区」があり、スキューバダイビングやシュノーケリングなどのマリナアクティビティガイドつきで楽しめる。森林とサンゴ礁の生態系を守るため、沿岸の森林に力を入れており、ゲストは寄付することで参加できる。また、外来種の魚を捕獲するアクティビティも。獲った魚はシェフの手でおいしいディナーへ変身。
>>SDGs Point
・生態系保全のためのアクティヴィティの実施
・地元食材やオーガニック食材を使用
・使い捨てプラスチック製品の廃止
・地元の漁師や環境保護団体への支援
・サンゴ礁や野生動物への理解を深めるレクチャーの実施
●Petit St. Vincent Resort(St.Vincent and the Grenadines)
プティ・セントビンセント島全体がひとつのホテルというユニークなプライベートリゾート。22棟のコテージがビーチや森の中、丘の上などに点在している。1960年代後半に開発されたホテルで、設備や内装は改修されているが、ビーチや建物の外観は当時と変わらず、クラシックなカリブ海リゾートの趣が残る。コテージにはインターネット回線、テレビ、電話などはなく完全に「アンプラグラド」な環境だ。プラスチック製ボトルの使用を廃止し、炭水化ブランドで海水から飲料水をつくるほか、植林やサンゴの植え付けにも取り組む。
>>SDGs Point
・ペットボトルの廃止
・淡水化プラントでの海水の脱塩
・オーガニック農園での食材生産
・サンゴ礁再生のための環境活動の実施
・サンゴ植え付け体験の実施
●Fogo Island Inn(Canada)
>>SDGs Point
・地域のための観光ビジネスの普及活動を実施
・魚介類を中心に地元の食材を使用
・太陽熱パネルによる自家発電
次の旅は、美しい海を眺めながら、いつもよりちょっとサステナブルな滞在をしてみませんか？
TRANSIT55号「未来に残したい海の楽園へ」 古今東西、海を舞台にさまざまな文化が育まれ、豊かな自然環境はもちろんのこと、長い歴史で秘めてきたロマンなど、さまざまな海からのギフトに、人びとは精神的にも肉体的にも恩恵を受けてきました。一方で、多様な生物が支えあって暮らしている海では、気候変動や人間の活動による海洋汚染をはじめ海をめぐる環境も変化し、問題が顕在化しています。世界各地の海への旅を想像しながら、未来へ残したい海に思いをはせる、新リゾート案内です。
特集内容：オーストラリア、マレーシア、ハワイ、西表島、スペイン、アメリカ、北極・南極、高知、海の楽園ガイド、海の生き物図鑑ポスター......etc.
定価：1,800円 ＋ tax
オンラインでのご購入はこちらから！ Amazon ／楽天ブックス
text=TRANSIT, ANNA HASHIMOTO
【インド洋】
●The Datai Langkawi(Malaysia)
インド洋の北東部、マレー半島西海岸のアンダマン海に浮かぶ、99の島々からなるランカウイ。施設は熱帯雨林に囲まれていて、少し山を降りたところには、海外の雑誌でたびたび世界のトップビーチに選ばれているダタイ湾がある。自然豊かな島を守るため、廃棄物を建物に利用できる無害な灰に変える機械を導入したり、自社の飲料水ボトリング工場を設置するなど、継続的に取り組む。ホテル専任の動植物学者とのネイチャーウォークや海洋生物学者とのビーチウォークも開催している。>>SDGs Point
・使い捨てプラスチック製品の廃止
・埋め立て廃棄物ゼロ
・サンゴ再生のための人工リーフ設置
・環境にやさしい建材を使用
●Jetwing Lagoon(Sri Lanka)
スリランカの首都コロンボから車で30分ほどにある、北西部ネゴンボのスパリゾート。ネゴンボは、主要な商業地であり西欧風の建物が多く残ることから「リトル・ローマ」と呼ばれている。施設のすぐ隣には190種類を超える野生の動植物が生息するマングローブ林を有するネゴンボ・ラグーンがあり、反対側には広大なインド洋を望む。生ゴミのコンポストや、ホテルの排水処理を徹底し、生態系を守っている。
>>SDGs Point
・バイオマス発電と太陽光発電を利用
・排水処理施設完備
・焼畑の自然再生事業
【北太平洋】
●Evason Ana Mandarrra(Vietnam)
ベトナム南部の海岸沿いのリゾート都市ニャチャンにある、クラシックなベトナム風ヴィレッジをコンセプトにした施設。透き通った海はもちろんのこと、山にもほど近く、さまざまなアクティビティを楽しめる。ペットボトル不使用を掲げ、換算すると毎年1万本近くに匹敵するごみの削減を実現している。また、チャリティにも積極的で、一部の児童養護施設で環境保護について教える活動も行っている。
>>SDGs Point
・公共エリアでのエアコン不使用
・給湯に太陽光発電を利用
・地域の学校などの浄水を支援
●Post Ranch Inn(America)
©︎Kodiak Greenwood
カリフォルニア西岸の、海抜365mの崖の上に位置するリゾート。手つかずの自然が残る海岸地域ビッグサーにあり、州立公園、ビーチ、滝などへのアクセスが良好。併設のレストランでは、近海で獲れる魚介類や自家農園の野菜を使用するなど地産地消にこだわり、カリフォルニアワインを含め3200種類以上のワインセレクションをもつ。ソーラーパネルや省エネ冷暖房を導入し、環境への負担を最小限に抑えている。>>SDGs Point
・ 地元の生産者の食材を使用
・すべての水は敷地内の7つの滝から調達
・ペットボトル、発泡スチロールの廃止
●Within The Wild Tutka Bay Lodge(America)
アラスカ州中央南部、ケナイ半島の端という人里離れた場所にあるロッジ。このエリアには道路がなく、車がアクセスすることができないため、ゲストは近郊の町から氷上飛行機かボートで送迎される。5月から9月の夏季のみのオープンしており、周辺の湾やフィヨルド、原生林をフィールドにしたさまざまな体験が楽しめる。ホテルが購入した広大な原生林は、生態系を調査・研究する環境保護団体などへ無償で提供している。>>SDGs Point
・環境保護団体にフィールドを提供
・宿泊1件につき100ドルをアラスカ州の保護団体へ還元
・野生の新鮮な食材や地元の生産者の食材を使用
【南太平洋】
●The Brando(Tahiti)
©︎Tim Mc Kenna
タヒチの首都パペーテから北東へ約50km、テティアロア環礁のプライベートアイランドにある高級リゾート。環境問題にいち早く取り組み、独自の海水空調システムやソーラーパネル、ココナッツバイオディーゼルを駆使して100%再生可能エネルギーでの運用を実現。海水は逆浸透プロセスにより飲用に変換。食品廃棄物や雨水も再利用するなど、その功績は枚挙にいとまがない。環境に配慮した建物を評価するLEED認証のなかでもっとも評価の高いプラチナ認証を世界で初めて受賞し、サステナブルリゾートの先駆者的存在となっている。>>SDGs Point
・100%再生エネルギーを使用
・廃水と雨水の有効利用
・食品廃棄物の堆肥化
・キャッチ&リリースベースのアクティビティの実施
・グリーンツアーの実施
●Black Bird(Australia)
バイロン・ベイの丘陵地に位置する3棟のみのブティック・ホテル。古いバナナ農園の跡地を利用し、客室は多くの再生素材でつくられている。太陽光発電により電力をまかなうほか、雨水の有効利用や廃棄物の堆肥化などリサイクルにも注力。食材は地元の生産者やファーマーズマーケットから調達し、自家農園で栽培する有機栽培野菜を用いるなど、肥沃な土壌を生かした持続的なサービスを提供する。>>SDGs Point
・省エネソーラーシステムによる自家発電
・雨水の有効利用
・地元の食材を積極的に使用
▶︎北大西洋
●Hamanashi Adventure ＆ Dive Resort(Belize)
30室すべてにプライベート感があり、部屋から一歩踏み出せば、生い茂るマングローブ林、透き通るカリブ海がすぐそばに。沖合には、グレートバリアリーフに次ぐ世界で2番目の広さを誇るサンゴ礁「ベリーズサンゴ礁保護区」があり、スキューバダイビングやシュノーケリングなどのマリナアクティビティガイドつきで楽しめる。森林とサンゴ礁の生態系を守るため、沿岸の森林に力を入れており、ゲストは寄付することで参加できる。また、外来種の魚を捕獲するアクティビティも。獲った魚はシェフの手でおいしいディナーへ変身。>>SDGs Point
・生態系保全のためのアクティヴィティの実施
・地元食材やオーガニック食材を使用
・使い捨てプラスチック製品の廃止
・地元の漁師や環境保護団体への支援
・サンゴ礁や野生動物への理解を深めるレクチャーの実施
●Petit St. Vincent Resort(St.Vincent and the Grenadines)
プティ・セントビンセント島全体がひとつのホテルというユニークなプライベートリゾート。22棟のコテージがビーチや森の中、丘の上などに点在している。1960年代後半に開発されたホテルで、設備や内装は改修されているが、ビーチや建物の外観は当時と変わらず、クラシックなカリブ海リゾートの趣が残る。コテージにはインターネット回線、テレビ、電話などはなく完全に「アンプラグラド」な環境だ。プラスチック製ボトルの使用を廃止し、炭水化ブランドで海水から飲料水をつくるほか、植林やサンゴの植え付けにも取り組む。>>SDGs Point
・ペットボトルの廃止
・淡水化プラントでの海水の脱塩
・オーガニック農園での食材生産
・サンゴ礁再生のための環境活動の実施
・サンゴ植え付け体験の実施
●Fogo Island Inn(Canada)
©︎Alex Fradkin
カナダの東海岸、大西洋に面したフォーゴ島にあり、ゴツゴツした岩盤の上にそびえ立つスタイリッシュなホテル。もともとは島の自然や文化を持続可能にしていくため、アートによるまちづくりが進められ、その後ホテルの施設に至った。ゲストにはホテルの売上が地域経済にどう貢献するか、データなどを詳細に公開。地域のためのビジネスや観光、環境の取り組みのロールモデルとして、世界中から注目を浴びる。>>SDGs Point
・地域のための観光ビジネスの普及活動を実施
・魚介類を中心に地元の食材を使用
・太陽熱パネルによる自家発電
次の旅は、美しい海を眺めながら、いつもよりちょっとサステナブルな滞在をしてみませんか？
TRANSIT55号「未来に残したい海の楽園へ」 古今東西、海を舞台にさまざまな文化が育まれ、豊かな自然環境はもちろんのこと、長い歴史で秘めてきたロマンなど、さまざまな海からのギフトに、人びとは精神的にも肉体的にも恩恵を受けてきました。一方で、多様な生物が支えあって暮らしている海では、気候変動や人間の活動による海洋汚染をはじめ海をめぐる環境も変化し、問題が顕在化しています。世界各地の海への旅を想像しながら、未来へ残したい海に思いをはせる、新リゾート案内です。
特集内容：オーストラリア、マレーシア、ハワイ、西表島、スペイン、アメリカ、北極・南極、高知、海の楽園ガイド、海の生き物図鑑ポスター......etc.
定価：1,800円 ＋ tax
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