4月16日は、ユダヤ教三大祝祭の一つである「過越祭」(ペサハ)の日。期間は年により前後しますが、2022年は4月16日から本格的に始まり、23日に終了します。
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ペサハとは、旧約聖書『出エジプト記』に由来する祝祭で、モーセが奴隷として苦しむユダヤの民を連れてエジプトを脱出したことを記念するものです。モーセたちがイスラエルにたどり着くまでの苦難の歴史を追体験するため、期間中はさまざまなルールのもとに1日を過ごします。
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その一つが、「酵母を含む食品を食べてはいけない」というもの。これは、「エジプトを脱出するときにパンを発酵させる時間がなかったから」というのが由来。その過酷さを追体験するため、期間中はスーパーのパンや麦製品に覆いがかけられ、家庭にあるものは捨てたり燃やしたりされます。
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もう一つの特徴的な伝統が、各家庭で「セデル」と呼ばれる宴を開くこと。出エジプトの際にユダヤ人が体験したことを子どもに語り継ぎ、その苦しみを食事の席で追体験します。食卓には発酵していないパンのほか、すね肉やゆで卵、苦菜、ワインなどが並びます。
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また、かの有名なレオナルド・ダ・ヴィンチの『最後の晩餐』で描かれた食事の風景も、イエスと弟子たちが過越祭で行っている「セデル」であるというのが通説になっています。
過越祭は街中がお祭りムード一色となるキリスト教のイースターなどと異なり、家の中で粛々と行われるためなかなか目撃することが難しい行事。
しかしユダヤ教でなくとも、親しくなることで招かれることもあるそうです。