中南米旅を終えた田中シェフの脳内は、新しい構想でいっぱいだ。「旅のなかで、ペルーのパンチュータなど塩をほぼ入れない製造工程に出合いました。製パン理論的には、塩を入れないと味も締まらないし、雑菌が繁殖しやすく酵素の抑制が効かないために発酵しすぎて、軽いパンになってしまう。でも、中南米の食にはポテンシャルがあるから、製パンの技術をきちんと伝えれば、さらに効率よくおいしいパンができるのではと思ったんです。なので、現地の文化を大切にしながらおいしいパンのつくり方を伝えていきたいと考えていて、パンの交換留学みたいなことも画策しています」。もちろん〈TOLO PAN TOKYO〉でも、この旅で得たものを活かして、さらに独創的なパンが生み出されるに違いない。
メキシコはとにかくレベルが高い。カリフォルニアの〈Tartine Bakery〉の流れを汲んだ店もおいしいし、街中のパナデリアも味が確立されていましたね。あとは、どの料理にも添えられているトルティーヤ。食べ比べると味や色、食感が店ごとに少しずつ違い、個性があることが発見でした。オアハカのベーカリーレストラン〈Masea Trigo y Maíz〉はいろんなトウモロコシでできたトルティーヤやパンが食べられるのでおすすめです!