見どころはヘルシンキだけじゃない!? フィンランド在住経験をもち、各地を旅してきた人たちに、お気に入りの町や過ごし方を教えてもらいました。ものづくりの町・フィスカルスをおすすめしてくれたのは、2007年にフィンランドへ移住して、デザインや執筆の仕事をしている島塚絵里さん!
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アーティストが集う村へ芸術に触れる町歩き
フィスカルス(Fiskars)
©Julia Kivelä / Visit Finland
ヘルシンキから西へ85kmの場所にあるフィスカルスは、なんと100人以上のアーティストが暮らす「芸術の村」。もともと製鉄会社で、現在は〈アラビア〉や〈イッタラ〉などを傘下に置く〈フィスカルス〉の創業の地で、かつては製鉄や銅産業が盛んだった。
その後、工場移転により一時廃墟と化したこの村に魅力を感じたアーティストたちが移住。古い倉庫や製鉄所跡をリノベーションし、アトリエやギャラリーへと生まれ変わらせたのだ。 島塚絵里さんも2021年の夏、このフィスカルスで1カ月間展示を行ったという。
「そのときはアーティストレジデンスに泊まったのですが、小さなギャラリーや美術館が点在しているので、のんびり散策しながら過ごしていました。村の中心には公園もあり、子連れでも楽しめるのがうれしいです」。
ヘルシンキから車で1時間半ほどなので、家族での日帰り旅行にもぴったり。5〜9月頃にはビエンナーレが開催されている年もあるので、その時期に訪れるのもおすすめだ。
●島塚絵里さんのお気に入りスポット
1.NIKARI
機能的にデザインされた名作家具に触れる
アルヴァ・アアルトとも共作経験をもつ家具職人カリ・ヴィルタネンが1967年に設立した、家具メーカー〈ニカリ〉のショールーム。「美しい木目の家具を堪能できます」
住所 : Åkerraden 13, Fiskars
ショップにビストロ、イベント会場まで備えた村の中心部にあるカフェバー。「日替わりのスープがおいしい。ライブなども開催しており、地元の人からも愛される憩いの場です」
住所 : Hälleforsintie 1, Fiskars
フィスカルス唯一のブルワリーでは、周辺で採れたハーブやベリーにインスパイアされたクラフトビールを製造。フィンランドの澄んだ水を使用し、酵母も天然のものにこだわっている。
住所 : Peltorivi 7, Fiskars
■PROFILE
島塚絵里(しまづか・えり)●2007年にフィンランドへ移住。テキスタイルデザインを学び、マリメッコ社でテクニカルデザイナーとして勤務。2014年に独立し国内外の企業にデザインを提供する。著書に『フィンランドで気づいた小さな幸せ365日』(パイインターナショナル社)など。2022年秋にフィンランドで初の絵本、『Kettu ja hiljaisuu(きつねと静けさ)』(Otava社)を出版。
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TRANSIT58号『春夏秋冬フィンランドに恋して』