【58号 フィンランド特集】
前衛的な図案光る!テキスタイル10選
by 森百合子さん

公共スペースから一般家庭にまで、暮らしに浸透するフィン・デザイン。そうしたフィンランドのかたちを感じ取りながらフィンランドをめぐるのも楽しいもの。〈マリメッコ〉でお馴染みのデザイナー、マイヤ・イソラをはじめ、フィンランド生まれのテキスタイルを10個、セレクト。執筆は、北欧の旅やライフスタイル、映画にまつわる著書をもつ森百合子さん。


text=YURIKO MORI



●Maija Isola (マイヤ・イソラ)

〈マリメッコ〉の前身であるプリンテックス社時代から在籍し、中心デザイナーとして主に1960年代以降に活躍。もっとも有名なウニッコ柄は爆発的な人気となり、北欧デザインの象徴に。同社の代表作となる図案をほかにも多数生み出した。 20230106_Textile_10.jpg



#マイヤ・イソラが遺したテキスタイル


1.Unikko(ウニッコ)

ケシの花を大胆に図案化。〈マリメッコ〉の社長、アルミ・ラティアは花は自然のままが美しいとの持論から花柄を禁じていたが、ウニッコを含むイソラの花柄は認められた。
Unikko HW コットンファブリック ¥880 / 10cm(ルック)
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2.Putkinotko(プトキノトコ)

1957~59年にイソラが手がけた初めての大規模なシリーズ「ルオント(自然)」のひとつ。名前はフィンランドの古い小説から。スクリーン版に植物をのせて写し取る手法で作られている。
©︎カスパイッカ
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3.Kaivo(カイヴォ)

1960年代に入って生み出されたダイナミックな図案の数々は、インテリアでも好んで使用された。カイヴォとは泉の意味で、水面に広がる波紋をイメージさせる。
Kaivo HW コットンファブリック ¥880 / 10cm(ルック)
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#フィンランドのテキスタイルを牽引するデザイナーたちの作品


4.Coronna(コロナ)

Aini Vaari(アイニ・ヴァーリ)

〈フィンレイソン〉の主力デザイナーとしてフィンランドテキスタイルの発展に貢献したヴァーリによる1950年代を代表する柄。楽譜をイメージして作られ、もとはジャズと呼ばれていた。コロナは再生産時につけられた名前。
Finlayson ™ © Finlayson Oy ミトン 鍋つかみ ¥2,530(アンドフィーカ)
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5.Jokapoika(ヨカポイカ)

Vuokko Eskolin=Nurmesniemi(ヴオッコ・エスコリン=ヌルメスニエミ)

〈マリメッコ〉で図案から服のデザインまで手掛けたヌルメスニエミ。「すべての少年」を意味するシャツは1956年に同社初のメンズ服として発売され、現在は性別を問わず愛されているロングセラー商品。
Jokapoika シャツ ¥26,400(ルック)
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6.Keidas(ケイダス)

Annika Rimala(アンニカ・リマラ)

ヌルメスニエミの跡を継ぎ、〈マリメッコ〉で図案とファッションデザインの双方を担ったリマラ。ひとつのモチーフを展開させるのが得意で、ケイダス柄はタルハと呼ばれる柄から発展したもの。
Keidas ファブリックバック ¥5,500(ルック)
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7.Sata Ruusua(サタ・ルースア)

Dora Jung(ドラ・ユング)

100本のバラを意味するサタ・ルースアは、ストックマン百貨店の100周年を記念してデザインされた。モダンなテーブルウェアに合うグラフィカルなデザインにより、ユングは従来のリネンの世界に新しい風を吹き込んだ。
© DesignFinnberg / Etsy

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8.Simpukka(シンプッカ)

Marjatta Metsovaara(マルヤッタ・メッツォヴァーラ)

国内外で評価を得た色彩の巨匠、メッツォヴァーラ。貝を意味するシンプッカ柄は〈タンペラ〉から発表した、とくに人気の高い柄。伝統的なルイユ織りのカーペットやブランケットのデザインでも知られる。 20230106_Textile_2.jpg

9.Optinen Omena(オプティネン・オメナ)

Pirkko Hammarberg(ピルッコ・ハンマルベリ)

オプ・アートに触発された図案を制作したハンマルベリ。グラフィック・デザイナー出身で、〈フィンレイソン〉から発表した代表作、オプティネン・オメナにもグラフィックのレイアウトが使用されている。
Finlayson ™ © Finlayson Oy
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10.Doris(ドリス)

Johanna Gullichsen(ヨハンナ・グリクセン)

伝統的な織りの技術でモダンな図案を立体的に表現するグリクセン。幾何学模様のノルマンディコレクションが有名で、海のように模様が広がる図案は、ギリシア神話の海の女神ドリスに由来して名づけられたもの。
Tetra Shoulder ¥27,500(デフ・カンパニー)
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■PROFILE
森百合子(もり・ゆりこ)●2005年より北欧を定期的に訪れて、旅やライフスタイル、映画などを中心に執筆。著書には、『3日でまわる北欧』シリーズ(トゥーヴァージンズ)、『北欧のおもてなし』(主婦の友社)、『いろはに北欧 わたしに"ちょうどいい"旅の作り方』(学研プラス)、『日本の住まいで楽しむ 北欧インテリアのベーシック』(パイ インターナショナル)など。北欧の食器とテキスタイルの店「Sticka スティッカ」を運営し、インテリアを楽しむノウハウも発信中。

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TRANSIT58号『春夏秋冬フィンランドに恋して』

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©︎Creative Industries Styria GmbH

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