美食の国イタリアには、農家やワイナリーなどが経営する民宿 「アグリトゥーリズモ」が各地にある。自家製ワインやその土地の食材を味わいながら、農業体験をしたり、アクティビティで自然に触れたり、都会では得られない出会いや旅時間を楽しめる。ピエモンテ州のホテルでイタリア料理を学んだこともある、イタリア好きなフードライター・沖村かなみさんに、おすすめのアグリトゥーリズモを5つ訊きました!
text= KANAMI OKIMURA
●メゾン・ロ・トリオレ/Maison Lo Triolet
ローマ法王も愛した村にあるワイナリー経営をする宿
山岳アクティビティにおすすめのヴァッレ・ダオスタ州グラン・パラディーゾ国立公園。そのほど近くに、イントロッドという小さな村がある。国際的に評価の高いワイナリー〈ロ・トリオレ〉の当主でもあるマルコ・マーティンさんは、ブドウを栽培、醸造しながら、パオラ夫人とともにアグリトゥーリズモを営んでいる。緑広がる静かなこの村は、かつてのローマ法王ヨハネ・パウロ2世やベネディクト16世も気に入って夏のバカンスを過ごしたそう。16世紀の建物を美しく改装したキッチン付きの6つの部屋にはそれぞれに農園のブドウの名前がつけられ、インテリアもさまざま。少し足を延ばせば、アルプス連峰のモンテ・ビアンコ(モンブラン)の絶景を楽しむこともできる。
●イル・ジャルディーノ・ディ・ヴィリアーノ/Il Giardino di Vigliano
ナポリ湾が一望できるレモン農家でファームステイ
ナポリ湾に面したソレント半島の先端にあるマッサ・ルブレンセで、代々、レモン農家を営むヌンツィアータ一家が温かくお出迎えしてくれる。農園にはたくさんの有機栽培のレモンの木が植わり、オリーブの木も育てられている。テラスから青の洞窟でおなじみのカプリ島やヴェスヴィオ火山が一望できる部屋があるので、ぜひリクエストしよう。海を眺めながら一日ホテルで過ごすもよし、ソレントを散策したり、ポンペイの遺跡を訪ねたり、アマルフィ海岸へ出かけたり...... 南イタリア好きには絶好のロケーションだ。農園で採れたレモンや野菜、自家製オリーブオイルを使ったマンマのナポリ料理も楽しみのひとつ。自家製のレモンやマーマレード、食後酒のリモンチェッロも楽しめる。
●イル・ヴェッキオ・ マネッジオ/Il Vecchio Maneggio
トスカーナの美しい丘で乗馬体験
紀元前エトルリア時代に起源をもつ中世の街、サン・ジミニャーノ。〈イル・ヴェッキオ・ マネッジオ〉はそんな街にある伝統的なトスカーナスタイルの2階建ての宿だ。自家製ワインやオリーブオイル、蜂蜜などとともに、料理上手なマンマが手打ちパスタや郷土料理をアットホームな雰囲気でふるまってくれる。ガイド付きで乗馬も体験できる。
●アチェタイア・デル・ バルサミコ・トレンティーノ/Acetaia del Balsamico Trentino
ガルダ湖畔でアクティビティを楽しむ
ガルダ湖畔にあるリゾート地のリーヴァ・デル・ガルダで、このエリアでは珍しいバルサミコ酢をはじめ、ワイン、チーズ、サラミなどをつくっているアグリトゥーリズモが〈アチェタイア・デル・ バルサミコ・トレンティーノ〉。湖でのセーリングのほか、山間部のトレッキングやマウンテンバイクなどアクティビティも楽しめる。
●オリヴェート・スル・ラーゴ/Oliveto sul Lago
オリーブ畑がつづく、広大な田園でリラックス
ボローニャ近郊の丘陵地帯にある、17世紀の貴族の館を改築したリゾート施設の農場に建つカントリーハウス。広大な農場から生まれるオリーブオイルやワインをテイスティングすることができる。朝食は農園で採れたフレッシュな野菜や果物、自家製ペストリーや地元産チーズなどが味わえる。