各地の気候や風習に合わせて多様なパスタが誕生し、なんとその数500種類以上。風土や歴史に関連して詳しくなれば、おいしいうえにお腹を満たしてくれるパスタがさらに味わい深くなるはず。
ここでは、イタリアの名物パスタからローカルパスタまでの16種類のパスタとその特徴を紹介します。
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見たことある?パスタ16種類紹介
1. クルルジョネス/Culurgiones
サルデーニャで生まれた麦の穂をかたどった詰め物パスタ。元来ハレの日に食すパスタで、ジャガイモやチーズを包む。
2. アニョロッティ・デル・プリン/Agnolotti del Plin
北部ピエモンテ州の代表的な詰め物パスタ。シート状に延ばした生地に肉などの詰め物を載せて、摘むように閉じて作る。
3. シュペツレ/Spätzle
液体状の緩い生地を、下ろし金のような道具を通して湯に落として茹でる。貴重な小麦粉を大事に食す南チロルのパスタ。
4. カヴァテッリ/Cavatelli
南部各地で古くから作られる、ローカルが慣れ親しんだパスタ。火を満遍なく通すために指で生地に溝を掘るように成形する。
5. ビーゴリ/Bigoli
ヴェネトなどで真鍮製の手動押出し機で作る太めのロングパスタ。もとは繋がりの悪い粗い粉を無駄なく食すために作られた。
6. マファルダ/Mafalda
19世紀の乾燥パスタ製造の技術者が、サヴォイア家のマファルダ姫に彼女のスカートのフリルを模したパスタを献上し誕生。
7. カネーデルリ/Canederli
残ったパンを卵や牛乳、ハムや香草、チーズなどを混ぜて練り上げた団子状のパスタ。南チロルの貴重なパンを無駄なく食す文化。
8. クロゼッティ/Croxetti
シート状の生地を専用の丸い木型で抜き、挟んで両面に模様をつける。十字架や貴族の結婚式で両家の紋章を刻印した。
9. テスタローリ/Testaroli
最古のパスタのひとつ。液状の生地をクレープのように焼いて切り、さらに茹でる。小麦粉が貴重な山間部の素朴なパスタ。
10. ロリギッタス/Lorighittas
サルデーニャで生地を指に巻き付けて二重の輪にし、さらに捻って作る手間のかかるパスタ。ハレの日に村のマンマ総出で作る。
11. チャルソンス/Cjarsons
フリウリ地方の詰め物パスタ。ヴェネツィアの東方貿易やハプスブルクの影響を受けたスパイスの香りが豊かな独特の味付け。
12. ピィチ/Pici
小麦粉、水、塩のシンプルな生地を一本ずつ延べて作るシエナ地方の名物パスタ。ニンニクとトマトや猪のソースなどが定番。
13. ピッツォッケリ/Pizzoccheri
小麦のとれない寒い山岳部の蕎麦粉パスタ。短冊状に切って茹でてチーズやキャベツ、ジャガイモとともにオーブンで焼く。
14. オレッキエッテ/Orecchiette
南部のプーリア地方を中心にしたパスタ。「小さな耳」の意味で、指やナイフでつけた窪みをひっくり返して成形する。
15. キタッラ/Chitarra
羊飼いが持ち歩けるように作られたとされる。ギターのように弦を張った道具に生地を押し付けて切り分ける為、四角い断面に。
16. ブジアーテ/Busiate
かつてはブーザという植物の茎による編み棒のような道具に生地を螺旋状に巻き付けて作られた。今では乾燥パスタも流通。
乾燥パスタと手打ちパスタ、違いって?
乾燥パスタと手打ちパスタはルーツが違う!
生地を成形してからあまり時間をおかずに調理する手打ちパスタと、長期保存でき商業的な流通も可能な乾燥パスタ。手打ちパスタは昔からイタリア内外の広い範囲で作られてきたが、手打ちパスタと、乾燥パスタは成り立ちが大きく異なる。今でもそのルーツによる棲み分けの名残りがあり、北部では手打ちパスタ、南部では乾燥パスタが多く食されている。
TRANSIT本誌では、ここで紹介したイタリアのパスタ以外にもロマンあふれるイタリアの風景や歴史をお届けしています。イタリアが大好きな人はもちろん、そうでない人もイタリアに行きたくなること間違いなし!な一冊です。ぜひ読んでみてください。