MORNING PEOPLE with〈Rab〉
漁師/神戸ペアトローリングス・尻池宏典
「港町神戸の午前4時」

朝早く起きた日は気持ちがいい。
実際に"early bird catches the worm"なんてことわざがあるように、朝の時間を有意義に使うと、1日が満ち足りたものになる。
そとからはなかなか見えない、自分だけの時間。
〈Rab〉のウェアとともに朝を頑張る人を訪ね、彼らの思考や、仕事における信念などを聞いた。

photography=ELEPHANT TAKA
text=TRANSIT



▶︎Interview with 尻池宏典(漁師/神戸ペアトローリングス)


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PROFILE
尻池宏典(しりいけ・ひろのり)●神戸市長田区の駒ヶ林漁港を拠点にする尻池水産の親方。2021年、神戸のしらすの魅力を伝える活動を目的とした〈神戸ペアトローリングス〉を立ち上げる。自らも小学校の出前授業で地元の水産業について教えるなど精力的に活動中。
神戸ペアトローリングス:https://kobepairtrawlings.jp/


"神戸のしらす" を広めたい。


港町神戸の午前4時。市内にある7つの漁港から、次々と船が繰り出していく。この時間にしらす漁を許されるのは、神戸の組合に属する船曳網漁の漁師だけ。多いときは1日に2000ケースものしらすが揚がるというから驚きだ。しかし大阪や淡路島に比べ、神戸のしらすは知名度が低く、安い単価で買い取られていたという。それは、神戸だけが営業努力を何もしてこなかったから。

「僕たちは魚をとるだけで、それを人に伝えていくという部分が欠けていた。このままでは神戸のしらすの価値は下がる一方。それじゃあかんと2021年に立ち上げたのが、〈神戸ペアトローリングス〉です」

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そう語る旗振り役が、長田区の駒ヶ林浦漁業会に属する尻池宏典さん(写真右)。イベントでのしらす丼の販売や小学校での出前授業など、尻池さんに賛同した親方たちが一体となり、神戸のしらすを広めるためのさまざまな活動を行っている。しかも、活動はすべて親方たちの手弁当だ。

「しらす丼を販売して得た収益は、子ども食堂へ食材提供する費用などに充てています。たとえボランティアであろうと、地元の人に僕たちのしらすを知ってもらえるという見返りがある。そこにみんなやりがいを感じています」

とあるイベントでのできごと。小さな子ども連れのお父さんがしらす丼を一つだけ購入していった。しかしまたすぐに、追加で購入に来たという。しらすを初めて食べた子どもが、パクパクと一人で平らげてしまったのだ。純粋な子どもの舌が、神戸のしらすのおいしさを証明した瞬間だった。

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またしらすのために奔走する父の背中を見てか、尻池さんの息子さんは大学を出たら漁師になりたいと言っているそう。神戸のしらすをめぐる物語は、まだ始まったばかりだ。





ー肌寒い朝に。〈Rab〉のおすすめアイテムー


尻池宏典さんが着用したのは「Generator Alpine Jacket : ¥40,000(including tax)」


「想像以上に寒い冬の漁にはダウンジャケットが欠かせない」と尻池さん。「慣れない日本の冬にはこれが一番」と、ともに船に乗り込むベトナム人漁師のファン・チョン・クォンさんも愛用の防風ダウン。GORE-TEX ®INFINIUMTMを採用し、温かさと軽さを両立。

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