癒やしのニュージーランド旅へ vol.1
クライストチャーチ&ウエリントン街歩き
マールボロ地方のワイナリー巡り

ニュージーランドを訪れるなら、どこの都市を選ぶ? 玄関口オークランドのほか、そこから足を延ばして別の街に行っても、楽しい発見が待っています。ここでは、心と体が癒やされる個性豊かな街々で体験したいアクティビティや訪れるべきお店などを紹介していきます。

text=TRANSIT
photography=NONOKA COMURO

→vol.2「癒やしのワイへキ島と、ピクトン&カイコウラの海リゾート」はこちら!


1.クライストチャーチ/Christchurch


Access:オークランド空港からクライストチャーチ空港まで飛行機で約1時間30分。街の中心エリアまでは車でおよそ30分。
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南島最大の街クライストチャーチは、イギリス統治時代の面影が残る街並みが特徴。自然も豊かで、街歩きが楽しめる場所だ。街中の建物にはウォールアートが多く、芸術を身近に感じることができる。

公園も多く美しく整備された街だが、ところどころに2011年に起きたカンタベリー地震による被害の影響が未だに見て取れる。街のシンボルの一つだった「クライストチャーチ大聖堂」も70%が崩壊してしまい、今も再建・修復作業がつづいている。完成予定は2027年。また美しい姿が見られるのが今から楽しみだ。

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●クライストチャーチでしたいこと1●

街歩きでマオリの文化に触れる


クライストチャーチの文化と食をテーマにした街歩きツアーを催行する〈Āmiki Tour 〉。公園や街中の建物をめぐりながら、先住民マオリ文化を交えたストーリーを交えて解説してくれるツアーや、ローカルフードの食事を楽しむプランなどもアリ。

取材時は、マオリのリワイさんにガイドしてもらいながら、マオリ文化に関連するオブジェが複数あるヴィクトリア公園を散歩。「こんにちは」や「ありがとう」を意味する「キアオラ」という挨拶の言葉や、相手と鼻とおでこを合わせる「ホンギ」という挨拶の仕方も教わった。ニュージーランドでは近年マオリ文化の保護や復興が積極的に行われている。マオリの基礎を知ることで、より深くニュージーランドを理解して楽しめるはず!


●クライストチャーチでしたいこと2●

トラムに乗って豪華な食事を楽しむ


街中を走るトラム(路面電車)はクライストチャーチ市民の大事な交通手段。見た目にも可愛らしいレトロな車両に乗って街中をぐるりと巡ることができるため、多くの旅行者にも利用されている。

トラムのなかには観光専用の便があり、移ろう景色を楽しみながらニュージーランド食材の豪華な食事を楽しむことができる〈Christchurch Tramway Restaurant〉というアクティビティがある。食事は大人$135のコースで、メインはニュージーランド名物のラムやサーモンなどからセレクトできる。ドリンクの種類も豊富で、ワイン好きはペアリングをぜひ。



2.マールボロ地方/Marlborough


Access:南島の北端に位置するマールボロ地方へは、オークランド空港から国内線で約1時間20分、ブレナム空港へ。レンタカーを借りるか、ドライバー付きハイヤーを借りて移動するのがおすすめ。
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ブレナム空港から国道1号線を南下するようにドライブしていくと、広大な緑地とブドウ畑がかわるがわる現れてとても気持ちいい。ワインの産地として有名で、100軒を超えるワイナリーがあるといわれているマールボロ。なかでも白ワインのブドウ品種、ソーヴィニヨン・ブランは、ニュージーランドを代表する品種としてよく知られている。

セラードア(ワイナリーに併設されている試飲直売所)は40軒以上あるので、自分でリサーチをして気になる場所を巡ってみよう。もっと手軽に参加してみたいなら、人気の場所を訪れるツアーなどに申し込もう。

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●マールボロ地方でしたいこと●

オーガニックのワイナリーを巡る


オーガニックで且つできるだけ人間の手を加えずに栽培したブドウを使ってワイン造りをする〈Marathon Downs〉は、ニックとジェスという若いカップルが営むワイナリー。ジェスの家系が所有していたという広大な土地に、ブドウ畑を作ったという。2頭の愛犬などがモチーフのイラストの遊び心あるラベルが印象的で、その味わいからも爽やかで自由な世界観が伝わってくる!


マールボロ地方には、日本人のワイン醸造家もいる。ソムリエの資格を所有し、ワインに魅了された木村さんによるワイナリー〈Kimura Cellars〉。2009年に立ち上げ、今ではそのワイン造りは国内外で高い評価を受けている。自宅の目の前には、美しく整備された広大なオーガニック栽培のブドウ畑。ブドウ収穫時には人を雇うが、それ以外の工程はラベル貼りも含めすべて奥様と2人で手作業で行っているそう。ワインの味わいも、品があり実直で、清々しい印象!


〈Folium Vineyard〉も日本人の醸造家・岡田さんのワイナリー。フランス・ロワール地方の老舗ワイナリー〈Henri Bourgeois〉が手がけるマールボロのワイナリー〈Clos Henri〉で修行を積んできた岡田さんは、ヨーロッパの手法を使っての高品質なブドウ作りを実践し、醸造での人的関与を最低限にすることで、自慢のワインを造り出している。ジョークを交えユーモアたっぷりに話す岡田さんのワインは、肩肘張らないような柔らかさがありながらも、奥行きの深い味わいだった!

ワイナリー巡りをすると、味の違いや、ワインに造り手の人柄が出るということがよく感じられる。初心者でもまずはお試しあれ。



3.ウエリントン/Wellington


Access:オークランド空港からウエリントン空港まで飛行機で約1時間10分。中心エリアまでは車で約20分。
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ニュージーランドの首都で、人口規模はオークランドに次いで2番目のウエリントン。丘陵地と海に挟まれ、都市ながら自然が近いことは大きな魅力の一つだ。

高いビルはそう多くなく、ややのんびりしたムードが漂う感度の高い街。雰囲気のいいカフェやレストラン、お洒落な雑貨店やファッションブランドなどのお店がたくさんあるので、街歩きやショッピングを楽しみたい。

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●ウエリントンでしたいこと 1●

キューバ・ストリートを歩く


国内でもっともクールな場所ともいわれるのがキューバ・ストリート。左右にいろんなショップやレストランがひしめく歩行者天国で、お買い物天国でもある。道の名前は、ヨーロッパ人入植者をニュージーランドに運んだ船が「キューバ号」だったことに因んで名付けられたそう。

毎週金・土曜の夜にはナイトマーケットが開催され、世界各国の食べ物を扱う屋台やフードトラックが立ち並ぶ。ライブミュージックを聴きながら、ローカルの人たちに混じって賑やかな夜を過ごそう。

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●ウエリントンでしたいこと 2●

サステナブルな品物をゲットする


環境先進国のニュージーランドに行くなら、サステナブルな食品や日用品はぜひ手に入れたいところ。国内でもコーヒーの都といわれるほどカフェ文化が根付いているウエリントンだが、街を代表するロースタリーといえば〈Havana Coffee Works〉。フェアトレードで仕入れたオーガニック豆を自家焙煎した、こだわりの一杯がいただける。豆の種類もバリエーションが豊富で、販売もしている。


化粧品ならキューバ・ストリートにある〈Wellington Apothecary〉へ。地元で採れたオーガニック栽培のハーブや植物を使ったナチュラル系化粧品のブランドだ。紫外線の強いニュージーランドらしく、日焼けを鎮静するバームやクレイパックなどを発見した。パッケージも素敵で、ギフトにも最適。

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食品なら〈Havana Coffee Works〉にほど近い〈Commonsense〉へ。オーガニックスーパーなので、(日本には持ち帰れないが)野菜や果物はもちろんのこと、チョコレートやスナック、調味料、そして化粧品も揃う。環境に優しい量り売りのコーナーも設置されているのがニュージーランドらしい!

ちょっと特別な食事をとるなら、野菜だけを使用した料理が味わえるミートレスレストラン〈Hillside Kitchen & Cellar〉に立ち寄ってほしい。こだわりの地元野菜を使用し、また、皮や種などもできるだけ無駄にせず、環境に配慮して作られた料理の数々はとても美味! 野菜だけでも物足りなさなど感じさせず、心もお腹も満たしてくれる。


●ウエリントンでしたいこと 3●

歴史あるレトロなケーブルカーに乗る


ウエリントンには1902年から運行している〈Wellington Cable Car〉がある。街の中心地から丘の上の住宅地へとつながる市民の足として親しまれてきたが、今では旅行者に人気のアトラクションの一つ。真っ赤でレトロな車両もかわいらしい。

乗車時間10分ほどで終点駅に到着。丘の上からの景色は素晴らしく、ウエリントンの街と湾が一望できる。眺望のいいレストランもあるので、食事しに訪れてみるのもいい。

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●ウエリントンでしたいこと 4●

〈Zealandia〉で動植物について学ぶ


ニュージーランドがいかに自然に溢れ、適切に保護しているか、また、どんな動植物が生息しているのかを見て学ぶことができるテーマパーク〈Zealandia〉。自然保護区内にあり、外敵が侵入できないようフェンスを設けているため、動植物のサンクチュアリとなっている。

敷地内にはたくさんの野鳥がいるが、不思議なことに人間がそばに近寄ってもなかなか逃げていかない。ボランティアガイドのグラント曰く、「外敵がおらず食べられる恐れがない環境で育っているので、人間を怖がらない」のだそうで、じっくり観察して楽しめるのが大きなポイント。

国鳥キーウィも生息しているそうだが、その数は約2.25㎢(東京ドーム約48個分!)という広大な範囲の中に150羽ほどとのこと。毎日のように訪れるガイドさんでもなかなか出合えないのだそう。もしその姿を拝むことができたら極めてラッキー!



→vol.2「癒やしのワイへキ島と、ピクトン&カイコウラの海リゾート」へつづく!





TRANSIT63号の誌面でもニュージーランドについて紹介しています。ぜひ併せてご覧ください。

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